Story1-③:「成長型社会モデル」の機能低下
1990年代に入ると、バブル経済が崩壊して、経済の安定成長に終止符が打たれました。
当時の日本社会を支えていたのは、経済が成長することを前提につくられた社会モデルです。
これを、「成長型社会モデル」と呼ぶことにします。
その代表的な仕組みとして「福祉国家」や「日本的経営モデル」があります。
「福祉国家」とは、民主主義のもとで、国民生活の社会保障や社会サービスの整備・充実を主要な目標とする国家のことを言います。
「日本的経営モデル」とは、終身雇用・年功序列・企業別組合の制度を組み込んだ日本特有の企業経営のモデルのことです。
「成長型社会モデル」は、経済の成長がとまるとうまく機能しなくなります。
「福祉国家」はそれを支える財政基盤が、「日本的経営モデル」はそれを支える企業収益が脆弱になるからです。
そうすると、さまざまな社会問題が発生します。
地域集団や学校を含む地域社会における社会インフラの弱体化、そして会社によるリストラ(整理解雇)の横行や非正規雇用の拡大などの社会問題が進行しました。