Story1-⑫:第二段階の「脱埋め込み」の発生

「単純な近代化(第一の近代)」で発生した「脱埋め込み」の状況は、近代化がさらに進むことにより、ふたたび生じます。

第二段階は「再帰的近代化(第二の近代)」によって発生した「脱埋め込み」の動きです。

ちなみに、アンソニー・ギデンズは、私たちの今日の世界を、高度化した近代社会という意味で「ハイ・モダニティ」あるいは「後期モダニティ」と呼んでいます。

これは、「再帰的近代化(第二の近代)」に相当するものです。

絶えることのない「個人主義化」や「情報社会化」が基盤となって進展したさらなる近代化は、近代社会がみずからうみだした、国民国家・階級階層・市民社会・雇用労働・核家族などの新しい制度や集団から、人びとが脱け出すことをうながす状況を作りだします。

それは、本人が望む、望まないに関係なく、会社や地域社会などの中間集団や家族からの離脱が進みます。

それにより、中間集団や家族との関係が希薄になり、帰属関係のゆらぎの問題が発生しました。

このようにして、第二段階における「脱埋め込み」の状況が進展するのです。

しかし、「脱埋め込み」の動きが進展するのみでは、人びとは不安定な状況に追い込まれます。

それでは、人びとを安定させるための「再埋め込み」の動きは、現在の私たちの世界で起きているのでしょうか。

起きていれば、安心するのですが。