Story1-⑲:新しい社会モデルへの挑戦

戦後の日本を振り返ってみると、「再埋め込み」のない状況が、現在の日本社会でも着実に進んできたと言えるでしょう。

そして、これからも間違いなく進展していくでしょう。

ウルリッヒ・ベックアンソニー・ギデンズが唱える「リスク社会」「個人化」や「脱埋め込み」「再埋め込み」の考え方は、社会全体のこれからの基本的な流れを長い目で推測するうえで、的を射た主張であるといえます。

しかし、感心ばかりしているわけにはいきません。

 

彼らは「再埋め込み」のない状況がこれからも進んでいくことに対して、警鐘を鳴らしているとの認識に立つべきです。

ベックは、「再帰的近代化(第一の近代)」は、リスク社会がもたらす結果に、自己対決していくことを意味していると説明します。

このベックの警告から、私たちは、新しい社会モデルづくりに挑戦しなくてはいけない時期を迎えていると考えなければいけません。

それは、「再埋め込み」のない「個人化」が進展していくなかで、人びとを安定へと導く、集団化、あるいはネットワーク化をどのように進めていけばよいかという、難問に対して向き合っていくということです。