Story1-21:目的のない若者の貯金
私が、現在の大学生のことで、ある事実に驚いたことがあります。
それは多くの学生が貯金をしているということです。
そして、その目的が何か明確にあるわけではなく、何となく不安だから、アルバイトをして通りあえず貯金をするという学生がいることです。
私も、大学生のころ、アルバイトをしていました。
ただ、夏休みに旅行に行くための資金稼ぎなど、目的がありました。
したがって、旅行にいけば、アルバイトで稼いだお金の残高はなくなります。
貯金するという感覚をあまり持ち合わせていなかった記憶があります。
現代の若者を、夢がないとか、人生は楽しいのだろうかなどと、批判する人がいます。
とくに、高度経済成長期を過ごした人は、そう思うかもしれません。
私もそう思っていた一人でした。
しかし、それは現代の若者のせいではないのです。
彼らは、「低成長期」(バブル経済崩壊後)に生まれて、育ってきました。
現実を、そして足元を見すえて堅実になるしかないのです。
逆に、そういう若者を作り出しているのは、新しい社会モデルの構築に挑戦しない大人かもしれません。
若者に夢を与えられず、遠くを見すえて進むべき方向性を定める、“羅針盤”を働かせる環境づくりに取り組もうとしない大人たちこそ、本来批判されるべきなのです。