Story1-⑱:「モデルなき時代」に身をおく私たち

高度経済成長が終わりを迎え、「安定成長期」(第一次オイルショックからバブル経済崩壊までの期間)に入ると、徐々に個人と中間集団との関係が希薄になり始めます。

その流れが「低成長期」(バブル経済崩壊以降)に入ると、本格化します。この動きは、「再帰的近代化(第二の近代)」が「安定成長期」において始動して、「低成長期」に本格化したと言いかえることができます。「脱埋め込み」のみが進み、「再埋め込み」のない状況が、着実に進んでいったのです。

ここでは、高度成長期のように、国家主導により再埋め込み先が手当されることはありませんでした。

第一次産業から第二次産業への移行時には、国も手当てできましたが、第二次産業から第三次産業への移行時においては、手当てできる術をもっていませんでした。

また、「単純な近代化(第一の近代)」の社会では、人びとが安定を確保できる、新しい制度や中間集団が生まれましたが、「再帰的近代化(第二の近代)」の社会では、同様の動きを見いだすことはできません。

いわゆる「モデルなき時代」に、私たちはいま身をおいているのです。

新しい社会モデルを構築できていない状況が、延々と続いてきているのです。