Story1-22:二つの分かれ道

「低成長期」(バブル経済崩壊後)を迎えると、現実の生活と密接して生きていかなければならない流れが強くなっていきます。

その流れを背景にして、集団やネットワークの形成が行われる場合には、二つの分かれ道が存在します。

一つは「リアル密接社会」につながる道で、もう一つは「リアル同調社会」へつながる道です。

 

「リアル密接社会」とは、現実の生活との密着度が高まるほど、他人との交流のなかで、共生と歓喜の気持を分かち合い、個人の主体的な自覚が形成されていく社会のことです。

個人の権利や自由を尊重して、個人の意義や価値を認め、個人が確立することを重視する、〈本来あるべき姿の個人主義〉の価値観を基盤にして構築される社会です。

個人の意義や価値を認めるということは、自分だけでなく、他人の意義や存在価値も尊重するということです。

 

「リアル同調社会」とは、現実の生活との密接度が高まっていけばいくほど、周囲の動きに同調する動きが強くなり、人びとが主体性を失っていく社会のことです。

〈行き過ぎた個人主義〉として「リアル乖離社会」ですっかり根づいた「利己主義(エゴイズム)」を基盤にして構築される社会のことです。

その社会では、他人のことをいっさいかえりみないで自分のことだけを考えて行動する価値観、他人なんかどうなっても良い、自分の身さえ守れれば良いという価値観が醸成されるのです。