2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

Story1-⑩:「脱埋め込み」と「再埋め込み」

「再帰的近代化(第二の近代)」によって明らかになった社会変容の具体的な現象として、ウルリッヒ・ベックの「リスク社会」と「個人化」をみてきました。 ベックと同様に、「再帰的近代化論」を唱えるアンソニー・ギデンズが主張していることにも、耳を傾け…

Story1-⑨:「個人化」の進行

ウルリッヒ・ベックは、個人が、近代化によって新しくうみだされた社会階級・家族形態・職業集団などの集団から切り離されて解放されていく過程を「個人化」と呼んでいます。 現在、近代化によって新しく生みだされた中間集団(階級・階層、会社、地域社会な…

Story1-⑧:近代的な制度や集団への帰属

「リスク社会」の到来は、社会的な問題に限る話ではありません。 私たち個人の生活や人生にもかかわってくる問題でもあるのです。 それを、ベックは「個人化」という言葉をつかって説明します。 人間は、近代化が進むと、封建的で伝統的な社会制度や価値観(…

Story1-⑦:「リスク社会」の到来

チェルノブイリの原発事故が示しているように、私たちはいつ訪れてくるか分からない危険にさらされているのです。 その危険は国とか地域とか、その境界線を乗り越えておそってきます。 人間はみずからつくった最高段階の産物によって、リスクにさらされる社…

Story1-⑥:科学の発展の皮肉な結果

第二次世界大戦後に進展した「産業(工業)社会」は、さまざまな技術を開発して、私たちの生活を便利にする製品をうみだしてきました。 たとえば、テレビ、自動車、パソコン、スマホなど、あげだしたらきりがありません。 このように私たちが生活するうえで…

Story1-⑤:「再帰的近代化論」からのアプローチ

私たちは、いま、どうして自分の力のみで社会に立ち向かっていかなくてはならないような状況に、おちいっているのでしょうか。 その理由について、近代化がどのように進んできたかという視点から、明らかにしている研究者たちがいます。 そのなかから、ウル…

Story1-④:帰属関係のゆらぎの問題

「成長型社会モデル」の機能低下に伴い、当然のごとく、地域集団や会社・学校などの「中間集団」と、個人の関係にも変化が生じます。 「中間集団」が個人を守ってくれるという機能は、徐々に低下していきました。 個人と「中間集団」との信頼関係が崩れつつ…

Story1-③:「成長型社会モデル」の機能低下

1990年代に入ると、バブル経済が崩壊して、経済の安定成長に終止符が打たれました。 当時の日本社会を支えていたのは、経済が成長することを前提につくられた社会モデルです。 これを、「成長型社会モデル」と呼ぶことにします。 その代表的な仕組みとして「…