Story1-⑨:「個人化」の進行

ウルリッヒ・ベックは、個人が、近代化によって新しくうみだされた社会階級・家族形態・職業集団などの集団から切り離されて解放されていく過程を「個人化」と呼んでいます。

現在、近代化によって新しく生みだされた中間集団(階級・階層、会社、地域社会など)や近代家族(核家族)から、人びとは切り離されつつあるのです。

個人と社会をつなぐ中間集団との帰属関係が希薄になり、個人は社会にむき出しになります。

何かあったときは、中間集団や家族が個人を守ってくれましたが、それを期待することは難しくなりました。

極端にいえば、人びとは、自分の力のみで、「リスク社会」に立ち向かなくてはいけないというリスクにさらされているのです。

そこでは、選択の幅が広がった現代社会で、自分の判断でどれを選ぶかを決めて、道を切り開いていくことが要請されます。

そのためにも、その判断の基準となる価値観を、日ごろから鍛えることが大切です。

他人の価値観に合わせて周囲に流されているだけでは、「リスク社会」の荒波に飲み込まれるだけです。