Story1-⑭:「再埋め込み」のない状況の進展

ウルリッヒ・ベックは、「再帰的近代化(第二の近代)」における「個人化」は、何らかの集団に「再埋め込み」されることのない解き放ちであると説明しています。

「再埋め込み」のない状況が進展するのです。

個人を守ってくれていた中間集団との関係は希薄になり、人びとは社会にむき出しになります。

リスクは、直接個人に降りかかってくることになるのです。

このままでは、決して安定した生活を確保することはできません。

確保するためには、リスクに負けない強い自分を作らなければいけませんが、誰でもできるわけではありません。

 

一方、アンソニー・ギデンズは、「再埋め込み」は、「時空間の無限の拡がりのなかに再構築すること」と説明しています。

この説明からは、ウルリッヒ・ベックと同様に、何らかの集団に「再埋め込み」されることを想定しているとは思えません。

たとえば、グローバリゼーションにより拡大するネットワーク、またインターネットを通じてのネットワークなど、集団というよりはネットワークに個人が組み込まれることによって、「再埋め込み」が進んでいくというイメージが浮かびます。